LIFモデルの解き方をまとめました。
LIFモデルの定義
basic integrate-and-fire model1と呼ばれるモデルを使います。定義は次のとおりです。
$$ \tau \frac{du(t)}{dt} = -u(t) + RI(t) $$
ここで、解きやすくするために次の条件を課します。
- 一定の入力電流
- $I(t) = I_0$
- 静止膜電位は0
- $u_r = 0$
- $t=t^{(1)}$のとき、スパイクが発火する
- $u(t^{(1)})=0$
条件を課すと、LIFモデルは次のように書けます。 $$ \tau \frac{du(t)}{dt} = -u(t) + RI_0 $$
LIFモデルを解く
定数変化法2という手法を用いて微分方程式を解きます。 LIFモデルを変形すると、次のような非同次1階線形法微分方程式の形になります。 $$ \frac{du(t)}{dt} + \frac{u(t)}{\tau} = \frac{RI_0}{\tau} $$
1. 同次形にして解く
まずは上で得られた式の右辺を無視し、同次形にした方程式を解きます。 $$ \frac{du(t)}{dt} + \frac{u(t)}{\tau} =0 $$ 変数分離形なので、次のように変形します。 $$ \frac{1}{u(t)}du = -\frac{1}{\tau}dt $$ 両辺をそれぞれ積分すると次のようになります。$C_1$は任意定数です。 $$ \log{u(t)} = \frac{t}{\tau} + C_1 $$ uについてまとめます。$C$は任意定数ですが、ここで$C$を$t$の関数だとみなします。 $$ u(t) = \pm e^{-\frac{t}{\tau}}e^{C_1}\ =Ce^{-\frac{t}{\tau}}\ =C(t)e^{-\frac{t}{\tau}} $$ 上で得られた結果を用いて、次のように$U$を$t$で微分します。 $$ \frac{du(t)}{dt} = C'(t)e^{-\frac{t}{\tau}} + C(t)(-\frac{t}{\tau}e^{-\frac{t}{\tau}}) \ = e^{-\frac{t}{\tau}}(C'(t) - \frac{1}{\tau}C(t)) $$
2. 得られた結果を元の方程式に代入する
先程得られた$\frac{du(t)}{dt}$を非同次形の方程式に代入します。 $$ e^{-\frac{t}{\tau}}(C'(t) - \frac{1}{\tau}C(t)) + \frac{C(t)e^{-\frac{t}{\tau}}}{\tau} = \frac{RI_0}{\tau} $$ $$ e^{-\frac{t}{\tau}}C'(t) = \frac{RI_0}{\tau} $$ $C'(t)$について次のようにまとめます。 $$ C'(t) = \frac{RI_0}{\tau}e^{\frac{t}{\tau}} $$ $C'(t)$を積分して、$C(t)$を求めます。$C$は任意定数です。 $$ C(t) = RI_0 e^{-\frac{t}{\tau}} + C $$ 結局、LIFモデルの解は次のように表されます。 $$ u(t) = C(t) e^{-\frac{t}{\tau}}\ = (RI_0 e^{-\frac{t}{\tau}} + C)e^{\frac{t}{\tau}}\ = RI_0 + Ce^{-\frac{t}{\tau}} $$
3. 初期条件を課す
ここでは、時刻$t$における膜電位を$u(t)$と表しています。 膜電位$u(t^{(1)})=0$という初期条件を課すと、次のような解が得られます。 $$ U=RI_0[1 - e^{-\frac{t - t^{(1)}}{\tau}}] $$
このようにして、微分方程式として与えられていたLIFモデルを解くことができました。
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Gerstner, W., & Kistler, W. (2002). Spiking Neuron Models: Single Neurons, Populations, Plasticity. Cambridge: Cambridge University Press. doi:10.1017/CBO9780511815706 ↩︎