簡略化したLIFモデルの解き方をまとめました。

LIFモデルは、Tutorial 2 - The Leaky Integrate-and-Fire Neuron — snntorch 0.5.1 documentationを参考にしました。

このモデルは本来のLIFモデル1を簡略化したものです。LIFモデルを次のように定義します。 $$ \tau \frac{dU}{dt} = -U + RI(t) $$

定数変化法2という手法を用いて微分方程式を解きます。

LIFモデルを式変形すると、次のような非同次1階線型微分方程式の形になります。 $$ \frac{dU}{dt} + \frac{U}{\tau} = \frac{RI(t)}{\tau} $$

1. 同次形にして解く

まずは上で得られた式の右辺を無視し、同次形にした方程式を解きます。 $$ \frac{dU}{dt} + \frac{U}{\tau} =0 $$ 変数分離形なので、次のように変形します。 $$ \frac{1}{U}dU = -\frac{1}{\tau}dt $$ 両辺をそれぞれ積分すると次のようになります。$C_1$は任意定数です。 $$ \log{U} = \frac{t}{\tau} + C_1 $$ Uについてまとめます。$C$は任意定数ですが、ここで$C$を$t$の関数だとみなします。 $$ U = \pm e^{-\frac{t}{\tau}}e^{C_1}\ =Ce^{-\frac{t}{\tau}}\ =C(t)e^{-\frac{t}{\tau}} $$ 上で得られた結果を用いて、次のように$U$を$t$で微分します。 $$ \frac{dU}{dt} = C'(t)e^{-\frac{t}{\tau}} + C(t)(-\frac{t}{\tau}e^{-\frac{t}{\tau}}) \ = e^{-\frac{t}{\tau}}(C'(t) - \frac{1}{\tau}C(t)) $$

2. 得られた結果を元の方程式に代入する

先程得られた$\frac{dU}{dt}$を非同次形の方程式に代入します。 $$ e^{-\frac{t}{\tau}}(C'(t) - \frac{1}{\tau}C(t)) + \frac{C(t)e^{-\frac{t}{\tau}}}{\tau} = \frac{RI(t)}{\tau} $$ $$ e^{-\frac{t}{\tau}}C'(t) = \frac{RI(t)}{\tau} $$ $C'(t)$について次のようにまとめます。 $$ C'(t) = \frac{RI(t)}{\tau}e^{\frac{t}{\tau}} $$ $C'(t)$を積分して、$C(t)$を求めます。$C$は任意定数です。 $$ C(t) = RI(t) e^{-\frac{t}{\tau}} + C $$ 結局、LIFモデルの解は次のように表されます。 $$ U = C(t) e^{-\frac{t}{\tau}}\ = (RI(t) e^{-\frac{t}{\tau}} + C)e^{\frac{t}{\tau}}\ = RI(t) + Ce^{-\frac{t}{\tau}} $$

3. 初期条件を考える

ここでは、時刻$t$における膜電位を$U(t)$と表しています。 膜電位$U(0)=U_0$という初期条件を課すと、次のような解が得られます。 $$ U=RI(t) + [U_0 - RI(t)]e^{-\frac{t}{\tau}} $$ もし、$U_0=0$ならば、更に簡素な表現が得られます。 $$ U=RI(t)[1 - e^{-\frac{t}{\tau}}] $$

このようにして、微分方程式として与えられていたLIFモデルを解くことができました。


  1. Leaky integrate-and-fire モデル — Juliaで学ぶ計算論的神経科学に詳しく書かれています。今回私が例に上げているのは静止膜電位が0のケースを考えています。 ↩︎

  2. 一階線形微分方程式 - EMANの物理数学 ↩︎